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お知らせ・情報【ブログ】「金食い虫」の機械式駐車場の修繕問題に悩む管理組合
10月16日付の東京新聞に、『<マンションの曲がり角>機械式駐車場「金食い虫」 維持費、全面更新…悩む組合』と題した記事が掲載されていました。
本記事の要約は以下の通り。
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◾️ 老朽化した機械式駐車場の扱いに悩むマンション管理組合が増えている。
◾️ 駐車設備の維持管理や全面更新には多額の費用がかかるうえ、空き区画の増加に伴う管理組合の収入減がこれに拍車をかけているためだ。
◾️名古屋市内にある築30年のマンション(75戸)では、45台分の機械式駐車場があるが、老朽化に伴い車を移動させるモーターのカバーにさびが目立つようになった。また、車を出せなくなるレベルの故障が頻繁に起きるため、住民から苦情を受けている。
◾️ ただ、設備全体の更新費用に6千万円以上、部品交換だけでも1,400万円の費用が必要とされ、いま修繕か撤去かの判断を迫られているという。
◾️ 首都圏では高齢化や車離れ、カーシェア利用の普及を背景に利用者が減少しているため、駐車設備を撤去して平置きに改修する動きが広がっている。
◾️ 都内の築27年マンションでは8台分を撤去し、工費約400万円で4台分の平面駐車場に転換した。設備の更新に1,100万円かかる見込みだったうえ、利用者が減ったため当時4台分の空きが発生していたからだ
◾️ ただし、平面化のような改修工事の際には、留意すべき点がある。たとえば、マンションに一定数以上の駐車場を設けるよう各自治体で義務付けられている場合があるため、平面化工事で台数を減らす際には事前の確認や届出が欠かせない。
◾️ また、管理規約上の「共用部分の大幅な変更」に該当するため、組合総会で「特別決議」が必要で、全区分所有者の4分の3以上の賛成が求められる。
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筆者も、顧問先マンションで、平面化を含む機械式駐車場の空き区画問題の解決に多く携わってきました。
川崎市のマンション(90戸)は、竣工時には全戸分の駐車場が敷設されており、しかもそのほとんどが機械式(昇降横行式3段タイプ)でした。
コンサルタントとして筆者が起用された当時は、全体の4割が空き区画となっており、その影響で組合収入もかなり減少していました。
また、築20年を経過し、経年劣化に伴う設備の修繕工事を迫られていました。
そのため、まず32台分のパレットを撤去し、12台の平面駐車場に改装しました。
さらにその5年後、19台分のパレットを撤去し、7台の平面駐車場に改装しました。
その結果、現在は全58区画に減り、そのうち23区画が平面式となりました。
2回にわたる平面化工事による経済効果をまとめると、
・工事費等の投資合計 約 2,500万円
・設備更新費用と設備点検費の減少 約▲6,500万円
差引き 約▲4,000万円の維持コスト削減につながりました。
ここでは簡単に実施前の状況と結果だけを述べていますが、実現するのには「相当の手間」がかかっています。
まず、初回の平面化工事を実現するまでに、足掛け3年間を要しました。
たとえば、
・駐車場の需要調査のためのアンケートの実施と集計結果のとりまとめ
・平面化工事を方針として決定するまでの修繕委員会での議論
・平面化工事を実施する場合のメリットとデメリットの分析調査
(サブリース業者への賃貸、設備のロックアウトなどの代替案との比較)
・工事業者を決めるための相見積もりの取得
・総会前の住民説明会の開催
上記のようなプロセスを経た結果であり、組合内の合意形成のために必要不可欠な手間なのです。
つまり、「共用部の大きな変更」に該当するような事業においては、
・管理組合の執行機関である理事会を中心に、「改革を進めようとする熱意」があること
・なるべく効率的で生産性の高い議論を進めるために専門家の経験や知見を活用すること
この2点が必要だと思います。・・・ブログはこちら